昨日のニュース、ソニー・ミュージックエンタテインメントが約30年ぶりにアナログレコードの自社生産を復活するとのこと。
ソニー30年ぶり生産復活 CD工場で温故知新
大手音楽会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)はアナログレコードの人気再燃を受け、自社生産を約30年ぶりに復活する。レコードは親会社のソニーなどが開発したコンパクトディスク(CD)の普及に押され、生産数は一時減少していた。今回の生産再開は、世界で初めてCDの量産を始めたSME子会社の工場(静岡県焼津市)で行われる。アナログからデジタルへの転換が本格的に始まった場所が、レコードの「復活」に一役買うことになる。(2017年7月7日 毎日新聞記事より)
以前より、アナログレコードが若者に人気とか、アメリカでプレス工場が大忙しなんてニュースもありましたし、何気にアナログプレーヤーが売れてたりするのも気になってました。
どうやらアナログレコードは一部マニアの密かなブームというレベルを超えてちょっとした波が来ているようです。
アナログレコードからCD、そしてネット配信へ
最初に歴史というか昔話を少し。
私が分かるのは1970年代くらいからの話ですが、以前は一般人が楽曲を購入する際は、アナログレコードがメインでした(他には8トラとかカセットテープなど)。そして1980年代にCDが登場し、アナログレコードのシェアを奪い、2000年になるとネット配信が普及してきます。
メディアの容量ではなく、物理的なサイズをちょっと画像で比較してみました。
SDカードなんてあのサイズに何曲分のデータが入るかとおもうとあらためて驚きです。
ここでマメ知識として、各メディアの名前や特徴など説明しておきます。
LP(Long Playing)盤
1分間に33+1/3回転するレコード盤。サイズは12インチ(30cm)、アルバムと言えばこれのことです。片面約30分の再生が可能で、裏表(A面、B面)があり、全部聴くには裏返す必要がありました。
7インチシングル盤
1分間に45回転する小型のレコード盤。シングルレコードは通常これでした。EP(Extended Play)と呼ぶ場合もありますが、厳密にはEPは同じ45回転で片面に2~3曲入っているもののようです。12インチシングルってのもありましたね。
そうそう、当時のレコードプレーヤーはメディアによって回転数を変える必要があったのですよ。(さらに昔は78回転のSP (standard play)盤というのもありました。)
アナログレコードの材質は塩ビだったので、保管状態が悪いと反ることもありましたし、静電気でホコリが付くので扱いも面倒。小さな黒板消しのようなクリーナーやスプレーは必需品でした。ホコリが付くと、そこで“ボツッ!”って音がしたり、音が飛んだりなんてこともありましたね。
CD(Compact Disc)
LP盤などのアナログレコードに代わるデジタル音楽メディアとして登場した光ディスク。
レコード針を落とした際い気になったノイズが全く無く、クリアな音質に登場当時は狂喜しました。登場当時はプレーヤーも高価で、また音源も少なく、一部のマニアのものかな?と思っていましたが、機器やメディアの充実とコストダウンと並行して、あっという間にシェアを拡大していきました。
LPやCDから「カセットテープ」にダビングして、車で聴いたりしていました。車にはカセットテープを何本も積んでましたね。で、車にCDオートチェンジャー(CDを10枚とか入れておいて自由に再生、選曲できる)が搭載されるようになるとホント便利だと喜んだものです。CDをテープに録音しなくてもよいし、ボタン操作だけで聴きたい曲がすぐ聴けるんですから。
まだCDに録音すること(CD-Rなど)が一般的ではなかった頃は、MD(Mini Disc)やDAT(Digital Audio Tape)などが登場し、特にMDはカセットに比べ音もよく、また頭出しが簡単だったので、私はイベント時のBGMやSE、またバンドのメンバーに曲を渡したりするのに愛用していた時期もありました。
DVD(digital versatile disc)やBlu-rayもCDと同じ大きさでより多くの映像と音声を記録できるメディアとして一般的になりましたね。
そして2001年に登場したのがiPod。ハードディスクを内蔵していて、今から思えば重くて大きいのですが、私は発売当日に手に入れ、これで生活が変わると大喜びしていました。(最初のiPodだけは捨てられずに今でも手元にあります。)
楽曲のネット配信はそれ以前からありましたが、iPod、iTunesの登場に通信環境の進化、提供楽曲の充実などが加わり普及に加速がつき、今に至るって感じでしょうか。
今の環境はどうか?
外出時はiPhoneで音楽聴いてます。車はHDDやSDカードに音楽入れてますし、ブルートゥースでiPhone繋いでってこともありますし。気になる楽曲はネットで探してすぐダウンロード。そりゃもう便利ですよ。
なぜ今アナログレコードなのか?
と、歴史をおさらいしてみると、アナログレコードが復活するというのは不思議に思えます。
昔買ったアナログレコードを聴きたいから、デジタル化したいからとアナログプレーヤーが一時期売れたのは分かるんですけどね。
と言いながら、私自身はアナログレコードの音が好きで、レコードをかけてくれるバーにもよく行きます。CDは人間の可聴範囲以外の音をカットしているとか、音の波形を数値化するので原音に忠実ではないなんて難しい話はさておき、(当時は嫌いだった)ノイズも含めて、なんか優しく暖かい、ふくよかな音のように感じられます。まあ、バーの器材が良かったり、お酒が入っているからかもしれませんが(^^;)
それも含めて、思いつく理由をざっと挙げてみます。
・音が良い(好み?、温かみがある、原音に忠実?)
・針を落とす、裏返すなどの手間がかえってよい~音楽を聴くという実感、ワクワク感
・CD化されていない昔の音源が聴ける
・イケてるアーティストがアナログ盤を発売している
・アナログレコードを聴くというスタイルのオシャレ感
・所有する満足感、大きなジャケット
ちょっと違うだろ?というのもありますが、アナログレコードを買ったり、聴いたりってなんかワクワクしませんか?
ジャケ買いの面白さ
話はちょっと逸れてしまいますが、アナログレコードのサイズだからこそ「ジャケ買い」って成り立つ気がするんですよ。
ジャケ買いって、決して塩ジャケを買うことではありません。ジャケットに惚れて例えば知らないアーティストのレコードを音も聴かずに買ってしまうこと。
ジャケ買いだと当たりハズれはあるのですが、それも楽しみの一つでした。思いがけず、よいアーティストに出会った時の感動は忘れられません。
考えてみると最近は(お酒やお菓子なんかのジャケ買い?はしますが)CDのジャケ買いってほとんどしませんね。サイズの違いもあるでしょうが、音楽情報は豊富ですし、検索すればアーティスト情報も分かり、視聴も出来ちゃいますから、ハズレはないでしょう。
また、サイズや陳列方法の違いもあると思います。CDだと棚から背表紙だけ見えるように陳列されている店が多いので、目当てのCD以外を手にする機会も減りました。ネット検索だと画面の中の小さな画像のみ。昔は、目的のレコードを探すため、ジャケットを1枚1枚捲っていたものです。で、それが30cmの迫力で迫ってくるわけです。部屋のインテリアとしてもよいですしね。
そうそう、思い出したことがあります。CDがかなり普及しだした頃、レコード店でいかにもバンドやってるって感じ高校生の男子がZIGGYの新譜をCDとLPを両方買っていくところに出くわしました。気になったので声をかけて聞いてみると「LPは部屋に飾る」とのことでした。
昔のレコードのジャケットデザインが今よりも優れているかどうかは分かりません。楽曲や青春の思い出とリンクしているものもあるでしょうし、30cmというサイズを意識してデザインされていますから、CDサイズを想定したデザインとは異なると思います。
なんか昔話が中心になってしまいましたが、アナログレコードの復活は楽しみです。
アマゾンでもちゃんと「アナログレコードストア」があるんですね。なるほど、売れ筋を見ているとふむふむという感じです。
でもジャケ買いするにはやはりお店に行かなくては!!
売り場が充実してきたら、ネット使用禁止というのもいいかも(笑)
そして同時にレコードプレーヤーや再生環境も整えなきゃですね。
近いうちにオーディオマニアではない人向けにレコードプレーヤーの選び方をご紹介しようと思います。